真崎耳鼻咽喉科医院 ワクチン

新しいワクチン

1)インフルエンザ菌(HI)と肺炎球菌(SP)のワクチン

 道感染症の原因となる菌の代表であるこの二つの細菌は、幼少児では重篤な肺炎を引き起こすばかりでなく、髄膜炎を起こして神経的な後遺症を残したり、最悪の場合命を落とすこともあります。高齢者では免疫力と嚥下機能の低下により誤嚥性肺炎をおこして最終的な死因となる場合が少なくありません。これらの菌に対するワクチンが待望されていましたが、ようやく日本でも接種できるようになりました。ただし一口にインフルエンザ菌や肺炎球菌といってもその亜型が沢山あり、すべての型に効果のあるワクチンではないことは理解しておくべきことであります。

たとえばインフルエンザ菌は莢膜(きょうまく)があるものと無いものがあり、また莢膜のあるものはさらにa,b,c,d,e,fという型があります。現在ワクチンとして使用されているのはb型(Hib)で、乳幼児に重篤な感染症をおこすもので、年長児や成人ではあまり問題になりません。また中耳炎や副鼻腔炎をひきおこす細菌型ではありませんので、耳鼻咽喉科領域としてはワクチンの有用性はあまりないようです。生後数ヶ月以内、せいぜい1歳未満の乳幼児が対象です。

 肺炎球菌も血清型が90種類以上知られ、さらに亜型にわかれています。最初に日本で認可された23価ワクチン(ニューモバックス)は、対象が高齢者の誤嚥性肺炎の予防で、小児には効果が認められていません(一時的効果はある)。2010年2月に認可された7価ワクチン(プレビナー)は小児でも効果が認められており、小児科で勧められる機会が増えていると思います。これは重篤な感染症の予防効果は勿論、中耳炎に対する効果も期待されています。現実的には肺炎球菌中耳炎には40%前後の予防効果があるという報告もあります(ただし中耳炎全体としては10%前後)。とくに中耳炎を繰り返し、ペニシリン耐性となった肺炎球菌に高い効果があるとされています。

ただ問題がないわけではありません。何種類もある亜型のうちのすべてをカバーするわけではないので、カバーしていない型がかえって増加しているという報告もされています。またペニシリン耐性菌は減ったものの中程度耐性菌が増えたという報告もあります。海外では7価にあと6価加えた13価のワクチンや、血清型とは違った蛋白抗原を利用したワクチンも開発され、さらなる効果も期待されています。いま打つべきかどうかは、もう少し歴史を経ないと確実なところはわかりません。今打つと将来開発されたワクチンを打つことができなくなるということも考えられます。
 

2)HPVワクチン


 最近子宮頸癌予防のため、ヒト乳頭腫ウイルスHPVワクチンの接取が可能になりました。HPVは疣贅(いぼ)を発生させるウイルスであり、手足のみならず男性の亀頭部にできる尖圭コンジローマの原因でもあります。また声帯にできる乳頭腫もHPVが原因であることが知られています。ただしこのウイルスにも多くの型があり、子宮頸癌(16,18型)とイボとでは異なる型で、今回のワクチンでは、イボには無効です。ただ喉頭のように腫瘍を発生させるウイルスは子宮頸癌(16,18型)発生ウイルスと近い型のようです。ただ喉頭の場合、乳頭腫が癌に変わっていく危険があまり高くないようで、喉頭癌の予防には実用的ではないようです。

 いずれにしろ、子宮頸癌の予防には画期的なワクチンの登場です。ご希望の方は当院でも接種を受けることができます。
詳しくはグラクソ・スミスクラインのホームページへどうぞ

http://allwomen.jp/prevention/inoculation.html