真崎耳鼻咽喉科医院 秋田県 秋田市
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中耳炎・・・・何で鼓膜を切らなきゃならないの? 1)2)3)
1)中耳炎の痛みを早期に和らげる
耳鼻科に行ったら「中耳炎ですね、鼓膜切開して膿出しましょう」って言われたとき、お母さん、ちょっと不安になりますか?大事な子供に傷をつけるのは、多分臍の緒を切る以来初めてですよね。切らなくても薬で何とかならないの?小児科では様子みましょうって言われたのに!
耳垂れを経験したお母さんはわかるかもしれませんが、中耳炎がひどくなると耳から汁が出てきますよね。これは膿が鼓膜を押し上げて最後に鼓膜を破って自然に出てくるものです。これが子供にとってどれ位痛くて不快なことか、その直前の様子はわかりますね、夜中に急に泣き出して、大概は熱を出してすごく不機嫌になります。私たちが鼓膜を切るのは堰を切る前にその手助けをするのです。
2)抗生物質だけでは治りにくい
ウイルスや細菌は常に口の中に進入してきます。けれども多くの場合は免疫の働きで防御されます。この免疫力、とくに細菌に対する抵抗力は3歳位から役に立つようになります。つまり3歳以下の子供は自力で細菌を取り除く力がありません。ですから少し強い病原菌が口からはいると、のどに住み着き、やがて鼻や耳に広がり鼻炎や中耳炎を引き起こします。これを治すのには、(免疫の弱い子では特に)抗生物質を使って病原菌をたたく必要があります。ところが抗生物質を使うと細菌が学習して抗生物質に抵抗力を持つ菌=耐性菌が増えてくるようになりました。つまり抗生物質だけで菌を除去することができなくなっています。そこで耳鼻科医は、鼻汁を奧から吸い出したり、鼓膜を切ったりして病原菌を排出・減量して抗生剤の効果を高めようとしているのです。
3)将来の発育にも影響が
抗生物質が効きにくくなっているため、治ったように見える中耳炎も、すぐに再発したり、中耳の中にドロッとした滲出液が残ったままになっていることが少なくありません。いずれにしてもそういう状態での聞こえは当然通常ではありません。言葉を覚えなければいけない時期に聞こえが悪いという状況がもたらす結果は深刻です。
またこの時期は中耳の周りに蜂の巣のような空洞が発育してきます。この発育は将来の中耳の呼吸や機能を補助する重要な役目がありますが、滲出液が貯まっていると、組織が酸素不足で呼吸ができなくなり、発育ができなくなることがあります。発育ができないと将来的に慢性中耳炎に移行して、音を十分に伝えることができなくなります。これを防ぐために我々は換気も目的とし、鼓膜切開をしたり、鼓膜にチューブを差し込んだりしているのです。
めまいがしたらまず何科にかかりますか? 夜中なら救急車を呼びますか? 日中ならかかりつけの内科ですか、それとも脳が心配なので、脳外科や神経内科に飛び込みますか?経験のある方は思い当たるでしょう、心電図や胸の写真をとって、血液の検査もして、何の異常もないようだ、大きい病院でCTやMRIを撮ってもらったらといわれたでしょう。でもそこでも異常はない。まあ耳からということもあるので、心配だったら耳鼻科に行ってみたらと言われた方もいるでしょう。
ようやくここで耳鼻科にたどり着くことになります。内科的には何ともなかったから耳鼻科に来たというわけです。そのころには大概めまいは治まってますね。残念ながらめまいはその最中でしか診断ができないことが多いので、もっと早く来れなかったのかなあという耳鼻科の溜息を聞くことになります。
もし内科的な疾患があってめまいを伴うなら、あなたが最初に悩む症状はめまいではないでしょう。動悸、胸苦しさ、呼吸困難などなど。
もし脳の病気で、ましてやMRIでわかるような病気があればめまいで悩む以上にあなたを悩ませる症状があるはずです。激しい頭痛、麻痺、しびれ、一時的な意識障害などなど。これらの病気はめまいとはいいません。
めまいのなかではっきりわかっているのは耳の病気、耳と関連した神経の病気がほとんどです。その多くはぐるぐる回る激しいめまいで、発作時に耳鼻科を勉強した医師が診れば確定できるものです。めまいと吐き気と、おそらく大変な不安感、それだけの症状であれば、あなたの行き先は耳鼻科です。
風邪をひいたらまず内科ですよね、一般的に。でもなぜ?
風邪をひいて、鼻水出てませんか?内科に行って鼻の中みてくれますか。のど痛いですよね、内科に行ってのど視てもらってますか?懐中電灯やペンライトで本当にのどの隅まで見えると思いますか。咳しますか?聴診器あててくれるでしょう。でも本当に気管が赤いとか、炎症があるとか聴診器でわかるとおもいますか?のどに強い炎症が起きて、呼吸ができなくなって窒息する病気があることを知ってますか。このときの状態を懐中電灯だけで診断できる内科医は100%いません。おそらく耳鼻科医だけが診断することができます。
この領域にどんな治療が有効だろうと興味を持っている内科医は多くはありません。せいぜいひどい気管支炎や肺炎になってはじめて登場するのが呼吸器内科です。多くの循環器内科、消化器内科はもっと別のところが重要で、風邪は適当にしていれば自然に治るものだと思っています。実際に多くの風邪は何にもしなくてもなおるので、それで事足りるのです。残念ながら呼吸器内科は耳鼻科より希少です。
もし、ご飯を飲み込むのもつらい咽頭痛や、のどが狭くなって何か息苦しい感じがあるという症状があれば、最初にかかるべき科は耳鼻科です。むしろそれ以外の選択肢はありません。
夏真っ盛りですね。休み中の子供たちは海にプールに盛夏を謳歌していることでしょう。水遊びの後は、耳に入った水をよく拭き取りますか?丁寧にゴシゴシと?おっとお母さんちょっと待って下さいね。なぜそんなに熱心に耳掃除するのでしょう。そんなに綿棒を奥まで入れちゃって、危なっかしいったらありゃしない。
「なぜって、ばい菌が耳に入らないように清潔にしてしなきゃいけないでしょう、子供は中耳炎に罹りやすいっていうし、いけませんか?」
結論から先にいいましょう、耳かきは止めて下さい。せいぜい見える範囲をタオルで拭き取るくらいにしてください。ゴシゴシは駄目ですよ、ましてや耳かき棒を耳穴につっこんでコリコリなんて絶対に止めて下さい。耳穴の表皮は奥へ行けば行くほど薄くなり、タマネギの皮程度の厚さしかありません。皮膚の下はすぐに骨で、簡単に傷ついてしまいます。傷ついたら、特に夏場は必ずと言っていいほど菌が侵入し、耳の穴が腫れてしまいます。ひどい場合は耳周囲から顔全体が赤く腫れ上がることもあります。
耳の穴、鼻の穴にはブドウ球菌という菌がほとんどの人に常についています。皮膚は細菌にとっては鉄兜のような存在で、それより中に進入することはありませんし、そこで菌が必要以上に繁殖することもありません。ところが鉄兜にヒビ、つまり皮膚の傷があるとこれ幸いに進入し、血液などから栄養をもらい繁殖し化膿性の炎症を起こします。
耳なら耳だれ、鼻なら鼻の入り口にべっとりとこびりつくコビ、そしてどちらも皮膚の下に膿をもったおできのような赤い腫れができます。夏はとくに菌にとって繁殖しやすい温度なのです。炎症を起こして痒くなるので耳鼻を指でクチュクチュ、その手で顔をぽりぽり、ほら顔にも膿が!これトビヒっていいます。その手で食べ物をつかむと?菌から出た毒素は食中毒の原因にもなります。掻くのはお止め!
1)耳かきをよくする人で、ある日グッと押したときから聞こえなくなったという場合、耳垢が耳栓のように詰まってしまった場合があります(耳垢栓塞)。ここまでなってしまったら、自分で取ろうとするのは危険です。早めに耳鼻科へ行きましょう。耳垢とおろそかにするなかれ。長い間詰まっていると、皮膚が呼吸できなくなって、皮膚が炎症でぐゅちゅぐちゅになって、場合によっては耳の骨にまで炎症が波及して、骨が溶けて耳穴が拡がっていく場合があります(外耳道真珠腫)。
2)飛行機に乗った後、風邪で強く鼻かんだ後などに、耳が塞がれたようになって聞こえが悪くなった場合は中耳炎です。中耳に水が貯まっています。自然に抜ける場合もありますが、鼓膜を切って早めに水を抜いておいた方が慢性化せずに良いようです。
3)急に耳が塞がれて、低音が響いたり、音が割れたりした場合、特に過去にも経験があり、繰り返す場合は、内耳の中にあるリンパ液が正常より増加した状態にあります(内リンパ水腫)。数日で治ることが多いのですが、繰り返すうちに戻らなくなることもあります。4日以上放っておくのは危険です。
4)ある日、ある時間、誘因も原因もなく急に聞こえが悪くなる病気があります。突発性難聴です。耳鳴りを伴うことも少なくありません。めまいを伴うこともありますので、そちらの方で慌てて、内科でCTやMRIをとったり、入院して点滴しているうちに、治るものも治らなくなることもあります。4日以内に治療を開始した場合に治りが良いことが知られています。
いずれにしても、聞こえが悪くなったら4日以内に耳鼻科を受診してください。
中耳炎などで鼓膜が破れても、大概はすぐに塞がります。ただ何回も繰り返したり、慢性化して塞がらなくなることがあります。鼓膜に穴が空くと聞こえは悪くなります。穴が空いているとウイルスや細菌が直接中耳に侵入して、炎症を起こし、耳だれの原因になります。さらに炎症が内耳に波及して内耳自体が障害を受け、聴力の神経がやられることもあります。鼓膜の穴は早めに塞いでおくべきです。聴力を回復させるためには、中耳の炎症の程度、中耳構造の変化の程度により、中耳を作り直す手術(鼓室形成術)が必要です。中耳の構造が保たれていていれば、鼓膜だけを作り直すだけで聞こえが良くなります(鼓膜形成術)。鼓膜形成術は、穴の大きさがある程度の条件の大きさであれば、外来で30分位の手術で行うことができます。1回で完全に閉鎖する確率は85~95%ですが、その後の手直しも容易です。ただし感染の状態や穴の大きさ、位置などにより、適応にならない(塞がらない)方もいます。
耳鳴りで悩んでいる方は、少なくありません。しかし残念ながら特効薬はありません。ビタミン剤、代謝活性剤、血管拡張剤や安定剤などを効果をみながら組み合わせて使用します。3割位の方は良くなったといいます。一番の解決策は耳鳴りを受け入れることです。そのための心理学的手法もあります。
滲出性中耳炎とは、中耳に水が貯まっている状態で、多くの場合急性中耳炎が治りきれていない状態が続いていると考えられます。急性の中耳炎にかかったことに気付かない場合もあります。3歳以下で発症し、小学低学年まで続くことがあります。実際小学1年生の1割の子供に存在するといわれています。一般的には年齢とともに自然に治るといわれていますが、中には厄介な慢性の中耳炎(真珠腫性中耳炎)へ移行する場合もあります。
1)まずは発見
日常生活で注意深く子供を観察してください、呼んでも返事しないことがある、聞き間違いがある。、TVの音量が高い、TVに近づいて見ているなどの症状があれば、耳鼻科へ受診してください。また中耳炎を繰り返したことがあり、いつも小児科で、内服治療で治っていた、という場合も一度は耳鼻科へ受診してください
2)治療
大事なことは、言葉や情報を吸収するこの時期に、聴力が悪い場合の影響です。聴力低下がある場合は中耳に貯まった水を、鼓膜切開して抜き取ります。慢性化してドロッと糊のようなものが貯まっている場合もあります。このような場合、切っても切っても再貯留を繰り返すことが少なくありません。このような例には鼓膜にチューブを差し込んで、持続的に排液と換気を行います。
3)最悪の場合は?
鼓膜が中耳の中にひっぱられて、癒着する場合(癒着性中耳炎)、鼓膜が中耳の上の方に引っ張られポケットができ、そのポケットに何層も皮膚の老廃物がたまり、炎症を起こし、中耳や周りの骨を壊していく場合(真珠腫性中耳炎)があります。いずれも聴力回復には手術が必要になってきます。
補聴器は、全く聞こえなくなった方がつけるものではありません。聞こえという能力が低下して、日常生活に何らかの支障が出てきたら、なるべく早めに使用を検討すべきものです。
秋田県の場合、我々耳鼻咽喉科医(日本耳鼻咽喉科学会秋田地方部会)が設立した補聴器相談室で、検査・適合・貸し出し(試用)を行っています。補聴器が合う合わないは非常に微妙で、ちょっと電気屋(あるいは眼鏡屋)さんで買ってくるというわけにはいきません。高価なのに合わなくて使わなくなるという方が大勢いらっしゃるのは残念です。中にはもっと高価なら聞こえが良くなるといわれて、いわば詐欺まがいの買い物をさせられるという話もあとを絶ちません。補聴器は万能の代用耳ではありません。使える条件(場所、環境、場面)によって役に立ったり役に立たなかったり様々です。必ず専門のところで合わせ、最低でも1月は試してみて、納得してから購入ください。
睡眠時無呼吸症候群といわれるものです。睡眠のリズム(脳中枢の異常)によって起こる場合(中枢性)と、鼻から喉頭にかけての上気道が、睡眠時に狭くなって起こる場合があります(閉塞性)。後者の場合は、肥満や加齢も原因の一つです。日中の眠気、慢性的な(睡眠不足による)疲労、夜間の呼吸循環系への負荷などで、様々な病気の原因になります。当院では簡単な検査(自宅で簡単な器械をつけて睡眠の状態を計測)での診断を行っております。さらに一泊入院の上、脳波や心電図なども同時に調べる方法もあります(専門病院)。特に閉塞性の場合は耳鼻咽喉科の診断が重要です。
治療は、重症な場合は狭くなった部分に圧をかけて呼吸を楽にさせるマスク(CPAP)を行うとともに、原因(肥満など)の改善に努めることです。ただこのマスク、鼻が詰まっているとうまくいかなかったり、人によってはどうしても煩わしいとして使えない場合もあります。
手術的な治療もあります。閉塞性の睡眠時無呼吸のかたの”ノドチンコ”は多くの場合垂れ下がり、左右の扁桃の幅が極端に狭くなっています。手術は軟口蓋形成というもので、本格的には全身麻酔で扁桃摘出して、そのうえで”ノドチンコ”の周りの空間・奥行きが広くなるように形成します。重症でない場合は局所麻酔でレーザーで形成することもあります(当院でも希望者には行います)。ただしどちらの場合も睡眠時無呼吸改善率は50%以下です。やってみなければわからないということです。
毎年関東では2月の初めより、わが秋田県でも3月中旬からスギ花粉症の季節がやってまいります。日本海側は太平洋側と風向きが異なり、この時期風は山に向かって吹いてゆくため、スギ王国秋田なのに、花粉症にかかる人は多くはないようです。とはいえ毎年悩まされる人には憂鬱な季節ということになります。
とこぶ前からアレルギーの薬を服用すると症状が軽く済むということです。1月前から、遅くとも2週間前から服用を開始したほうが効果的であろで最近では自宅で鼻洗浄をする器械が市販されていて、よく質問されるようになりました。鼻洗浄自体は耳鼻科で昔からおこなわれていた方法ですが、アレルギーにも効果があることが知られています。花粉は鼻の入り口にまず付着します。この付近の粘膜には線毛という掃き出し装置がなく、ここにとどまって蓄積しますので、物理的に洗い流してやることは意味があります。またアレルギーは、体の過剰反応ですから、鼻水の中に沢山の炎症性物質が分泌されて、これがさらに症状を悪化させます。これらを洗い流してやるのも意味があるわけです。というわけで洗浄してみようという方はご相談ください。
薬以外の予防ということで、いろいろと情報が氾濫し、これもまたよく質問されます。プロバイオティクス、魚に含まれる脂肪酸、乳幼児の低アレルギー用ミルク、離乳食の開始時期、イソフラボン、ビタミン等々。大規模な調査が行われたものもありますが、まだ十分にその効用は証明されていません。面白い調査がありました。ペットの影響です。花粉症もダニアレルギーもペットを飼っている家庭のほうにアレルギー発症が少ないという結果です。理由はわかりませんが、アレルギーというのはまだまだ未知な病気なんですね。
当院では、炭酸ガスレーザーによる治療を行っています。良い適応は
1)慢性的に鼻が詰まって、薬では改善しない方(粘膜の厚みをレーザーで焼いて薄くします)
2)花粉症である時期だけ悪くなる方(表面を焼くことによりブロックをつくり、花粉の進入を防ぎます)。もちろん発症前に行うのが効果的です。
レーザ手術は根本的な治療ではありません。物理的に表面を焼くだけですので、時間がたつと正常な治癒機転によって元に戻ります。人によって違いますが効果の持続は1月~6月位です。そのためひどい鼻づまりの場合、1月毎に数回治療を行うこともあります。
当院では減感作療法による根本的治療を勧めております。
アレルギー性は、遺伝子に組み込まれてしまっているので、根本的に治すことは現代では困難です。薬で体質を変えるといった謳い文句も、科学的根拠はありません。唯一体質を変えることができるのは減感作療法だけです。
これは、原因となる物質(多くはハウスダスト、スギ)=抗原のエキスを皮下注射する方法です。薄い濃度、少量から始めて、徐々に濃い濃度にもってゆき、しばらく定期的に注射をします。これにより原因となる物質に、アレルギーをおこす抗体とは別の抗体を体につくり、抗原とアレルギー抗体がくっついて反応するのを邪魔するようにさせます。
難点は週二回の注射が三ヶ月続くことです(その後は週1,2週に1、月1.....と間隔が延びていきます)。時間と根気が必要です。
1)いびきがひどく、日中の生活に支障がある場合、または身長が伸び悩んでいる就学前の子供
2)年に4回以上扁桃による発熱を繰り返す場合
3)一回の扁桃炎で4日以上熱が続く場合
4)扁桃周囲膿瘍(ご飯も食べられない痛み、声を出しにくい_含み声)を起こした場合
は摘出した方がよいと考えられています。
下の”ヨウレン菌感染症をお読みください”
扁桃炎をおこす菌として皆さんよくご存じのヨウレン菌。昔は猩紅熱といって、子供の法定伝染病の一つでしたが、いまは殆どの抗生物質が効くので、学校伝染病のレベルに下げられています。扁桃の炎症による咽頭痛、発熱といった症状以外に、ときに心臓や関節リウマチの原因になったり、子供の腎炎(糸球体腎炎)の原因になったりします。ですから早期に適切な治療をすることはもちろん、この感染を繰り返す場合には扁桃の摘出を考える必要があります。ただし現在のところ、抗生物質がよく効くので、慌てる必要はありません。ただヨウレン菌だけがなぜ騒がれるのか、耳鼻咽喉科医には解せません。扁桃につく菌は他にいくつかあり、ヨウレン菌以上に悪さをする場合も少なくありません。糸球体腎炎は数年の適切な治療を経れば回復しますが、ヨウレン菌以外の菌による扁桃の繰り返しの炎症で起きる”IgA腎症”といわれる腎炎は確実に腎機能を喪失する病気です。また掌蹠嚢胞症、多形性紅斑、結節性紅斑、尋常性乾癬といった皮膚の難病も非ヨウレン菌による扁桃炎により引き起こされる場合があることが知られています。しかも厄介なことにこれらその他の菌には耐性菌、つまり抗生物質が効かない菌が増えています。扁桃炎を繰り返しているばあいは、一度は耳鼻科に相談してください。
当院では内視鏡による副鼻腔手術を行っております。昔は唇の下_犬歯窩を開けて、上顎の骨を削る手術で、局所麻酔では大変痛いものでした。現在は鼻穴から細い内視鏡を入れて行う手術が主流です。当院でも対応しております。
耳垢は、皮膚が角化して自然に剝脱したものと、耳道腺(耳垢腺)から出る分泌物が絡まり合ってできるもので、本来は柔らかいものです。皮膚は代謝過程で耳穴、つまり外側へ移動するように変性して脱落するので、通常は耳穴のごく近い部分に耳垢が貯まってきます。ここを濡れたタオルでちょっと拭き取れば、耳かきをしなくても耳の中は清潔に保てるはずです。むしろ耳掻きは手前にある耳垢をわざわざ奥に押し込んでいる、という場合が殆どです。
さて耳垢腺というのはアポクリン腺という汗腺の一種です。汗腺にはもうひとつエクリン腺というのがありますが、いわゆる体臭というのはアポクリン腺によっておきます。このアポクリン腺が特異的になくなってしまった人種がいます。世界の中である系統(北モンゴロイド系)だけにおこった突然変異といわれています。このアポクリンが無い人の耳垢は、皮膚が角化して剝脱したものだけですので、当然乾いた耳垢ということになります。
日本人のルーツは北モンゴロイド系で、日本人の7~8割は乾いた耳垢といわれております。ただしこのアポクリンが出現しない遺伝は劣性遺伝で、逆に言えば子供が柔らかい耳垢の場合、両親のどちらかが柔らかい耳垢ということになります。柔らかい耳垢の方は体臭がありますが、フェロモンを発しているともいえます。
日本では少数派の柔らかい耳垢も、いまはやりのグローバルスタンダードでいえば柔らかいのがスタンダードではあります。
春です。入学、進学、就職となにかにつけ忙しい季節ですね。春といえば学校の健康診断が行われます。内科、耳鼻科、眼科、歯科の健診が恒例です。
耳鼻科健診では、要診療のチェックを受けるのは殆どが“アレルギー性鼻炎”です。初めて指摘された方は、この際しっかりと原因まで調べてみましょう。敵を知らずして予防も防御もできませんね。全く症状がないのに指摘されたという方もいるでしょう。そういう方も、一応は受診してください。自覚していない病態というのもあります。
“耳垢”というのもありますね。耳垢は家庭で取っているからいいやというものではありません。取っているつもりがかえって押し込んでいるという場合も少なくありません。耳垢も立派な病気ですし、場合によっては耳の骨を壊す病気に発展することもあります。必ず受診して専門医に取ってもらってください。
“扁桃肥大”と言われることもあります。肥大は病気でしょうか。肥大だけで症状がなければ問題はありません。6歳位をピークにして段々と小さくなっていきます。問題は年に何度も扁桃炎をおこして高熱を繰り返す場合です。扁桃は“ヨウレン菌”や“肺炎球菌”などの呼吸器に感染する菌がつきやすいところです。それらの菌が何度もあるいはずっと扁桃に住み着くと、免疫系が変化を来して腎臓に悪影響を及ぼすことがあります。その一部は将来的に100%腎不全になるという腎炎を起こすことが知られています。皮膚炎になったりもします。年に4回以上高熱を伴うような扁桃炎を起こす人は、扁桃摘出が勧められています。またいびきがひどく呼吸が止まってしまう、身長の伸びが遅いというばあいは、睡眠時の障害のため、成長ホルモンが少なくなっている場合もあります。このような方も扁桃摘出がすすめられます。是非専門医に相談してくださいね。
耳鼻咽喉科は、口腔の病気も一応専門ということになります。口腔外科というのは歯科の領域の分類で、本来歯の病気とそれに関連した領域に限定した分野での治療に限られ、口蓋、舌、咽頭、唾液腺の医療は耳鼻咽喉科が扱います。さて口の中の病気というのは、案外原因も治療法もはっきりとわかっていないものが多いので、実は耳鼻咽喉科医にとってもなかなか厄介な領域です。ただみなさんがもっとも心配であろう癌(舌癌、口腔底癌、頬部癌、咽頭癌等)の診断は比較的容易で、経験のある耳鼻咽喉科医であれば見ただけで見当がつきます。また治療も、多くは外科的な処置が必要ですが、早めに治療すると完治する例が比較的多いといえます。厄介なのは舌のぴりぴり感、しびれ感、渋み、乾燥、あるいは味覚の変化・減退といった感覚の異常です。また舌の色の異常(斑な赤み、白いあるいは黒い舌苔)を気になさる方もいます。なかには口内炎を繰り返すという方もいます。口臭を気にして来院される方もいます。これらのなかにはよく知られている病気であることもありますし、病名をつけるのが難しいものもあります。しかもいずれも有効な治療法が少ないのが実際です。
もっともポピュラーなのは、表面に白い膜が張り外周が紅い小さな痛みを伴う斑点=アフタ性口内炎で、全人口の2割は経験するといわれています。原因はわかっていません。塗り薬、噴霧剤、場合により内服薬で1週間以内には跡形もなく治ってしまいますが、何度も繰り返すので、煩わしい思いをしている方も少なくないでしょう。しつこく繰り返す場合で、眼や皮膚の紅斑を伴うものはベーチェット病という厄介なものも考えられます。小児で発熱を伴う場合はヘルパンギーナ(コクサッキーウイルス等)を疑います。アフタは一個一個が独立しているもので、数個がくっついて大きくなっていくものは、単純ヘルペスウイルスⅠによるものや、大腸の病気(クローン病)が考えられます。範囲がひろがり、紅くただれた(びらん)場合はウイルス(帯状疱疹、単純ヘルペスⅡ)を考えます。こすると表面の粘膜が簡単にはがれてくる場合は皮膚の異常(天疱瘡)であることがありますが、これは遺伝性です。えぐれたように紅くなっている場合は潰瘍で、癌を含めて厄介で治りにくい場合が多いので、組織をとって調べることになります。免疫力がひどく低下している場合はカビ(カンジダ)でもみられるので、菌の検査も必要です。
口の中気になりますか?(その2、白くなる口内炎)
扁平苔癬
口の中、特に頬の粘膜に網状、レース状に白くただれたような斑点はありませんか?時には紅くただれた部分や潰瘍を伴うこともあります。舌の側面にも白くただれた部分ができることもあります。舌の表面(舌背)は白い斑点が不規則に多発して、場合によっては互いにくっつきあったりして、地図のようになることもあります。症状としては「熱いものを食べたときのようなひりひり感や灼熱感」を訴える方が多いようです。これは扁平苔癬といわれるもので、我が医院でも最近増えているように思われます。原因ははっきりしませんが、間接的な原因としては薬剤や歯科金属、肝炎などと関連した一種のアレルギー反応といわれています。ビタミンAを服用して改善が見られることがあります。悪性ではありませんがまれにある種の癌が発生するという報告もあります。
白板症
舌縁や口腔底(舌の下)の片側一部、あるいは下口唇にできる境界の比較的はっきりとした白い斑点は、白板症といわれ、前癌状態として有名です。早めに切除し、病理検査することが肝要です。
口腔カンジダ
カビの一種であるカンジダは、正常な場合でも常在菌として口の中に存在します(酵母型)。抗生物質やステロイドを服用したり、免疫が低下するような糖尿・癌・膠原病などの病気が進んだり、放射線治療をうけたりすると病原性を発揮します(菌糸型)。お年寄りで、唾液が減少し口が渇いて、かつ義歯を装着している場合には50%以上の確率でカンジダ症をおこしているといわれています。初期の段階では(ミルクかすのような)剥がれやすい白斑が頬粘膜、舌、唇にぽつぽつとできます。長引くとそれらの粘膜が紅くただれ萎縮した状態になり、さらに進むと痛み、灼熱間味覚異常が起こります。さらに慢性化すると舌の表面に厚く剥がれにくい苔ができ、白く盛り上がっていきます。場合によっては黒く毛羽立つようになります(黒毛舌)。診断には菌糸型のカンジダ検出が必要です。治療は原因の除去と抗真菌剤が必要となりますが、抗真菌剤は腎障害性があり、長期の服用は好ましくありません。